体脂肪の蓄積と消費のメカニズム

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2001年頃「健康科学研究所」と名乗るホームページがあり、その所長の永田孝行さんという人が「低インシュリンダイエット」という内容でそのホームページで「GI値」という食材の評価値を発表していました。現在は理由は分かりませんが、もうそのホームページは閉鎖されています。GI値とは、グリセミックインデックス(glycemic index) という意味で、同じ量の炭水化物量(つまり、同じエネルギー)の食品で比べた場合の血糖反応の違いを表す値です。GI値が低い食品は、同じ量食べた時に、GI値が高い食品よりも、血糖値が上がりにくいということです。血糖値が急に上がるとインシュリンが分泌されて、血液中のブドウ糖がグリセリンに合成されて、さらに脂肪となって体に蓄積されます。炭水化物は生きていく為には必要なので食べるのですが、その中でも血糖値の上昇が緩やかな食品を選ぼうというのが「低インシュリンダイエット」です。インシュリンの分泌が抑えられ、結果的に食べたものが脂肪となって体に蓄積されるのを抑えられます。血糖値が下がると、脳のエネルギーになるのはブドウ糖だけなため、脳がブドウ糖を求めてアラームを出します。体脂肪の蓄積と燃焼のメカニズムを図−1に示します。図の左側が脂肪の蓄積サイクルです。右側が脂肪の燃焼サイクルです。脂肪の蓄積サイクルでは、空腹により食べた炭水化物は胃で消化され血液中にブドウ糖となって吸収されます。赤マークされた「プロシアニジン」や「ペクチン」は食べた炭水化物を分解しにくくする役割があると言われています。ダイエット用の食物には、これらの成分が入っていると謳っているものがあるようです。炭水化物を食べると血糖値が上昇し、脳の視床下部を刺激してインスリンがすい臓から分泌されます。インスリンは血液中のブドウ糖を合成して脂肪細胞や肝臓に脂肪酸グリセリンとして蓄積します。脂肪酸グリセリンは後に脂肪として再合成されます。血液中の遊離脂肪酸や脂肪は「リボ蛋白キナーゼ」という酵素によって、インスリンとは関係なく脂肪細胞や肝臓に脂肪酸グリセリンに分解します。要するに血液中のブドウ糖や遊離脂肪酸が少なければ体脂肪は合成されなくなるのです。だから右側の脂肪を燃焼するサイクルでこれらを燃焼させることがダイエットに効果的であるということになります。血糖値が低くなると脳の視床下部が刺激され、アドレナリンが分泌されます。アドレナリンは肩にある褐色脂肪細胞を刺激してリパーゼという酵素の分泌化を促します。体温上昇によりリパーゼが活性化され、白色脂肪細胞から脂肪を遊離脂肪酸として分解します。また血糖値が下がることにより、肝臓にある脂肪酸グリセリンや脂肪を血液中にブドウ糖や遊離脂肪酸として放出します。L-カルニチンは脂肪を筋肉細胞内のミトコンドリア(BCCA)まで運びます。脂肪はミトコンドリア内で燃焼されエネルギーに変わります。筋肉細胞内にあるブドウ糖はそのまま燃焼されエネルギーに変わります。運動の初期状態では無酸素運動といい、筋肉内のブドウ糖が燃焼されエネルギーに変換されます。運動すると体温が上がり、リパーゼがより活性化され、遊離脂肪酸が血液中に放出されるようになります。つまり体温が上がるのが平均約20分かかることから、20分以上運動しないと体脂肪は燃焼されるために血液中に分解されないことになります。また脂肪はミトコンドリア内で分解するためには有酸素運動が必要になります。有酸素運動と無酸素運動をする筋肉はそれぞれ別々に存在します。無酸素運動する筋肉は速筋といって増強するのが簡単なので、基礎代謝を増加させエネルギーの消費量が上がり太りにくい体質を作ります。有酸素運動する筋肉は遅筋といって、体脂肪を直接燃焼し体脂肪を減少させます。ダイエットするためには、この2つの筋肉の性質をうまく使って効果的に行うことが大切です。

図ー1体脂肪の蓄積と消費のメカニズム

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